日本歌謡学会は平成25年に50周年を迎えました。記念事業として、『日本の歌謡(うた)を旅する』(平成25年11月、和泉書院刊)を出版しました。
和泉書院 日本文学・日本語学・日本史学と上方文化本の図書出版
和泉書院 - 日本文学・日本語学・日本史学と上方文化本の図書出版-
目次
はじめに
- 花の錦の下紐は 解けてなかなかよしなや
一 祝う・寿ぐ・誉め讃える
- 【国土讃歌】 倭は 国の真秀ろば(『古事記』)
- 【酒を誉める・勧酒歌】 この御酒は 我が御酒ならず(『古事記』)
- 【酔ふた酔た酔た】 よふた よたよた 五しやくの酒に(『東海道中膝栗毛』)
- 【酒飲みの自己弁護】 杜子美 山谷 李太白にも(「隆達節歌謡」)
- 【乳房の報ひ・報恩】 百石に八十石そへて給ひてし(百石讃嘆)
- 【家を誉める】 この殿は むべも むべも富みけり(「催馬楽」)
- 【琴を誉める】 枯野を 塩に焼き(『古事記』)
- 【宴席・蟹の歌】 おしてるや 難波の小江に 蘆作り 隠りて居る(『万葉集』)
- 【赤きは酒の咎ぞ―中世の酒盛座興歌謡―】 赤きは酒の咎ぞ(『閑吟集』)
- 【「祝言」の朗詠・長寿】 嘉辰令月(『和漢朗詠集』)
〈コラム1〉五節の歌謡
- 【長寿を言祝ぐ】新年春来れば(『梁塵秘抄』
- 【新年を寿ぐ】新しき 年の始めに(『琴歌譜』)
- 【太陽王賛美】天に鳴響む大主(『おもろさうし』)
- 【滝の水】滝は多かれど うれしやとぞ思ふ(『梁塵秘抄』)
- 【四海波】四海波静かにて(小謡『小謡断錦集』)
二 祈る 神仏・異界との交流
- 【死者と決別する言葉】浅小竹原 腰泥む(『古事記』)
- 【庭燎】深山には 霰降るらし(「神楽歌」)
- 【神の名】天なるや 弟棚機の(『古事記』)
- 【名告る】朝倉や木の丸殿に(「神楽歌」)
- 【「仏事」の朗詠・讃仏乗の因】願はくは 今生世俗文字の業(『和漢朗詠集』)
- 【仏は常にいませども】仏は常にいませども(『梁塵秘抄』)
- 【女人成仏】龍女は仏に成りにけり(『梁塵秘抄』)
〈コラム2〉仏教歌謡
- 【四季と花の呪力】四季くれば 四季をぞ うたふやこの頃は(『巷謡編』)
- 【かくれキリシタンの歌オラショ】ウー 参ろうやな(かくれキリシタンの歌オラショ)
〈コラム3〉巡礼歌(順礼歌)
三 恋
- 【エロス(愛欲)】八千矛の 神の命(『古事記』)
- 【兄と妹の悲恋】君が往き 日長くなりぬ(『古事記』)
- 【一本葛】美女うち見れば(『梁塵秘抄』)
- 【蔦葛繰る苦しみ】まことの姿はかげろふの(『閑吟集』)
- 【手あと】そと締めて給ふれなふ(『宗安小歌集』)
- 【花と性愛と豊饒】紅は濡れて色増す(風流踊り歌)
- 【後妻打】かまくらのごしよのおまへに (風流踊り歌)
- 【手を取る】霰降る 杵島の岳を さがしみと(『肥前国風土記』)
- 【禁忌】我妹子に や 一夜肌触れ(「神楽歌」)
- 【女は誘う】東屋の 真屋のあまりの(「催馬楽」)
- 【聖を誘う】春の焼野に菜を摘めば(『梁塵秘抄』)
- 【言い訳】妹が門 夫が門(「催馬楽」)
- 【人待つところを見られたら―言い逃れの歌―】柳の陰に御待ちあれ(『閑吟集』)
- 【嫁にはならじ】甲斐人の 嫁にはならじ(風俗歌・承徳本『古謡集』)
- 【恋の濃淡】人と契らば薄く契りて/人と契らば濃く契れ(「隆達節歌謡」)
- 【呪詛(怒る)―角三つ生ひたる鬼―】我を頼めて来ぬ男(『梁塵秘抄』)
- 【鴨川に落ちた綾藺笠】君が愛せし綾藺笠(『梁塵秘抄』)
- 【後影を見んとすれば・後朝の別れ】後影を見んとすれば(『閑吟集』)
- 【女盛り】女の盛りなるは 十四五六歳(『梁塵秘抄』)
- 【青春・それはたった一度だけ―『日本風土記』に見える山歌―】
十七八はふたたび候か(山歌『日本風土記』)
〈コラム4〉中国・韓国の歌謡
- 【浮かれ心―吉野川の花筏―】吉野川の花筏(『閑吟集』)
- 【恋も人生も枕は知っている―「枕」は呪具―】来る来る来るとは 枕こそ知れ(『閑吟集』)
- 【恋は曲者・寝られない】来し方より今の世までも(『閑吟集』)
- 【黄昏の絶唱―『田植草紙』の文学性―】空色の檜扇に 月の輪をかいたと(『田植草子』)
- 【金か男か―永遠の二択―】黄金庫取らうか 器用のよい殿取らうか(『宗安小歌集』)
- 【いかにせん・独り言】いかにせんいかにせんとぞ言はれける(「隆達節歌謡」)
- 【花と露】花と露の縁(『琉歌百控』)
- 【恋風】恋や恋 我中空になすな恋(狂言小歌)
- 【ことばをかける】あまりことばのかけたさに(『閑吟集』)
- 【恋の踊・「新鷹」への想い】止むれど 人の心は 新鷹の(風流踊り歌)
- 【恋慕れれれつれ】君は五月雨おもはせぶりや(『吉原はやり小歌総まくり』)
- 【花も移ろふあだ人の】はなもうつろふ あだ人の(『東海道中膝栗毛』)
四 わらべの歌
- 【子守歌】ねェヽんねーんねんねこよ ねんねのお守はどーこ行たァ(『童謡古謡』)
- 【お月さまいくつ】お月さまいくつ(『童謡古謡』)
〈コラム5〉わらべうた―『童謡古謡』の編集―
- 【子とろ】子をとろ子とろ(『童謡古謡』)
- 【わらべの歌―降れ、降れ、こ雪―】ふれふれこゆき(『徒然草』)
五 労働・労作・労役
- 【嫁の苦労・舅の苦労】春の野にてぞ音をば泣く(『土佐日記』)
- 【労働の果て】夜べのうなゐもがな(『土佐日記』)
- 【えいとろえいと えいとろえとな―中世の踏鞴歌―】あら美しの塗壺笠や(『閑吟集』)
- 【田植・時鳥の予祝歌】ほとゝぎすは なにもてきたり(『田植草子』)
- 【京下りの商人―京への憧憬―】おもしろいは 京下りの商人(『田植草紙』)
- 【石曳き―アイドル登場―】われが殿御は藤五郎どの衆ぢゃが(三味線組歌『松の葉』)
六 動物・鳥・虫をうたう
- 【かえる・みみず】力なき蝦(「催馬楽」)
- 【動物の奏楽―鼬・猿・ばった・きりぎりす―】茨小木の下にこそ(『梁塵秘抄』)
- 【舞へ舞へ蝸牛】舞へ舞へ蝸牛(『梁塵秘抄』)
- 【鶯―巣いでの鶯―】卵になりたか(『田植草紙』)
- 【しらみの歌】頭に遊ぶは頭虱(『梁塵秘抄』)
- 【とんぼ】ゐよゐよ蜻蛉よ(『梁塵秘抄』)
七 人生
- 【親を想う】道の口 武生の国府に 我はありと(「催馬楽」)
- 【子を思う】わが子は十余になりぬらん(『梁塵秘抄』)
- 【鵜飼は嘆く・原罪】鵜飼はいとほしや(『梁塵秘抄』)
- 【遊びをせんとや生まれけむ】遊びをせんとや生まれけむ(『梁塵秘抄』)
- 【老いの感慨・臨終における正念】われらは何して老いぬらん(『梁塵秘抄』)
- 【子生まぬ式部の老いの果て】見るに心の澄むものは(『梁塵秘抄』)
- 【独り寝の時雨】せめて時雨よかし(『閑吟集』)
- 【無常】世間は霰よなふ(『閑吟集』)
- 【閑居の気味】只吟可臥梅花月(『閑吟集』)
- 【刹那を生きる―一期は夢よ ただ狂へ―】なにせうぞくすんで(『閑吟集』)
八 雪・月・花
- 【空より花降る】空より華降り地は動き(『梁塵秘抄』)
- 【花見】花見の御幸ときこえしは(早歌『早歌抜書』)
- 【冴えよ月】月は山田の上にあり(『閑吟集』)
- 【時雨】さんさ時雨と 萱野の雨は(『鄙廼一曲』)
- 【雪】篠の葉に 雪降り積もる(「神楽歌」)
九 都鄙遠境
- 【羽たべ若王子・熊野参詣】熊野へ参らむと思へども(『梁塵秘抄』)
- 【歌枕周遊】近江にをかしき歌枕(『梁塵秘抄』)
- 【旅】たびにしあれば草枕(早歌『拾菓集』)
- 【宇治の川瀬の水車】宇治の川瀬の水車(『閑吟集』)
- 【人買い舟】人買舟は沖を漕ぐ(『閑吟集』)
- 【夜の都大路―百鬼夜行―】さ夜更けて鬼人衆こそ歩くなれ(『梁塵秘抄』)
- 【海―「さんたまりや」は祈りのことば―】昔より今に渡り来る黒船(三味線組歌『松の葉』)
十 風俗
- 【沓を買う・宮路通う】貫河の 瀬々の柔ら手枕(「催馬楽」)
- 【遊女】遊女の好むもの(『梁塵秘抄』)
- 【流行】このごろ都にはやるもの(『梁塵秘抄』)
- 【大鍔】当世はやる 四海波の大鍔(『鄙廼一曲』)
〈コラム6〉近代歌謡
- 【さかさま歌】むらあやでこもひよこたま(『閑吟集』)
- 歌謡出典解説(兼索引)
- 歌謡本文テキスト一覧
- 本書所収歌謡略年表
- 参考文献
- 編集後記
- 執筆者一覧